「どうにかなりそう」が次の起業集積の鍵?

 ボクが上勝に住み始めた3年前には、新規創業は、観光と
 エネルギー系で取り組み始めた2社だった。

 この4年で改めて起業している会社を振り返ってみると、

 上勝(10社) 
 
 観光系(2社)カミカツーリストさん、上勝ランデヴーさん
  飲食系(2社)ペルトナーレさん、喫茶いくみさん
  農業系(1社)いろどり晩茶生産組合さん
  地域再生系(5社)
   地職住推進機構さん、RDNDさん、マチとコトバさん
   弊社2社(ソシオデザイン、キキーキャート)

 も産まれたことになる。
 今年の夏にも、2社できそうであるし、1700人の街としては
 異様な現象が起きているといっていいかもしれない。
 
 お隣の神山もサテライトオフィスがボクが知りうる限りでも
11社以上になっているだろうし、新規創業だけ見ても、

 この4年で見ても、

 神山(7社)
  飲食系(4社)
  製造系(1社)
  放送系(1社) 
  観光系(1社)  

 ボクが知りうる限りでも、7社は最低でもある。
 *新規に神山でという条件でカウントしみてみた。
 徳島県に広げれば、サテライトオフィスは20社以上に
 なっているし、なんとなく、不可思議な現象がここ数年で
 おきちゃったのがよくわかる。

 先日、大学院のプロジェクト研究でヒアリングに
 上勝神山を調査しました。そのさいに、思いかけず感じたことが
 ありました。

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 ①上勝と神山の起業及び企業風土の違い
  ー「どうにかしたい」と「やったらええやん」ー
 ②成功してから起業した第二世代の
  「どうにかなるかもしれない」感覚
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 お互いに共通点は、「新しいことをやってもいい」
 文化を持っているところです。これは、いろどりビジネス
 やアートインレジデンスでともに作り上げたものだろうと
 思います。新しいことを認める”基礎インフラ”ができている
 点は共通しています。

 しかし、違いもあります。 

 役場と民間の相互作用がうまくいっている上勝と、
 民間が主導している神山の違いなど、外的環境の違い
 もあるのでしょうが、空気感はかなり違います。
 
 上勝だと、人口が1700人なので、危機感が先に立つ
 部分が占める割合が高いので、やることにスピード感
 が求められていますし、誰もが「ヨソにない、他にない」
 ことをやるしか生き残りはできないという共通認識が
 あります。

 また、企業間もそれぞれを意識しつつも、互いが
 競争相手になっている部分も有り、「バラバラだけど、
 共通目的を抱いている」風土です。

 ところが、神山だと、人口も3倍近い5000人以上。

 また、グリーンバレーのもつ文化がもたらすもの、
 東京をベースにするサテライトオフィスが多いことなど
 もあり、独特の「ゆるやかな連帯」ができています。

 互いの企業間も「居候仲間」という感じがあって、
 よく情報共有の飲み会も頻繁に行われています。

 楽しいから集まってくるといった方がよいかも
 しれません。 

 これらの風土があいまって、つい最近起業している
 人のヒアリングをすると、ともに、起業に対して
 「どうにかなる」感覚がうまく作用している様に
 思います。

 *楽しいだけじゃないところがミソですね。

 この起業に対する不安がもっとも起業集積を損なう
 リスク感覚なんですが、周りも楽しく人生を謳歌している
 し、自分の道を突き進んでいる様子を見ている次の世代の
 起業者の人々は、3年前の起業とは異なり、「どうにか
 いけそうな空気」を感じ取っている気がしました。

 ボクも15年ぐらい起業家教育をやっていますが、
 この「どうにかなる空気」っていうのは非常に大事な
 気がしています。

 また、2002ー2005年頃の起業ブームの時に感じた
「あいつがやれるなら俺もやれそう」みたいなのも
 重要な要素なのですが、「どうにかなりそう」という
 セーフティーネットの風土は、非常に大きな要素に
 なっているように思います。

 これは、バブル期にも感じたことですが、なんか
 周りの空気が熱せられてて、自分もぽっかぽっかしてくる
 感覚というのは、起業集積においては、大事なポイント
 だと思っています。

 そういう面で、まだまだ徳島での起業集積は、続いていく
 だろうなと思っています。

 非常に楽しみです^^